活動について

演奏:師としての感受性

写真:読売新人演奏会 東京文化会館大ホール 1975年

大学卒業年に、東京文化会館大ホールで読売新聞主催『新人演奏会』で歌った時、深く豊かな包容力のあるホールの音響に、何故か大きな安心感を覚え、とても感動しました。

その後、オペラ公演やオーケストラ定期演奏会などで、東京文化会館で大変に多くの演奏をさせていただくことになりましたが、このホールの深く豊かな音響を感じて歌を委ねることができた時に、作品に込められた至高の世界に導かれたと感じています。

その後、サントリーホールという、今や世界に名だたるホールが完成し、創立前の音響を確認するためのオーケストラ演奏(マーラー作曲交響曲)で歌いました。その時点で、既にサントリーホールの今後の活躍を予感させる素晴らしい音響が内在していることを感じ、このホールで歌うことが楽しみになり、その期待は歌う度にますます満たされていきました。

演奏家にとっての芸術創造体験への導きは、感受するホールの響きとの協調作業もあることを忘れてはならないと思っております。

何気なく日々感じることが心の栄養になって私の感受性を育んでいると感じます。

演奏活動の中で出会った一人の素晴らしい女性との出会いで感じたことが、私にとって未知の世界への憧憬を生み、その扉を開けてくれました。

その女性とは福岡のホスピスでご奉仕の演奏をさせていただいた時に出会いました。その時に出会った患者さんたちは皆さん1か月以内にこの世を去られる、と病院の副医院長さんから伺っていました。そうした状況の中で、その女性の心を歌がしっかりと支えて守っていました。

演奏会後、お話しした時の女性のしっかりした強い目の光は今も忘れることがありません。

の女性に及ぼしている歌の作用について理解しようと私の感受性は全開となって働いているのを感じていました。

思いめぐらせて・・・その結果、これまでに無かった私自身への気づきがありました。

それまでにも、国籍、宗教、人種などの差異を問題としない音楽演奏の現場を体験していましたが、この女性との体験は私を未知の世界に導きました。

下記は、その時の体験に触れています。

師としての感受性

 

 

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