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演奏:木下牧子作品

写真:作曲家 木下牧子(1956- )公式ポートレート

木下牧子氏 略歴(公式サイトから):東京生まれ。東京芸術大学作曲科首席卒業、同大学院修了。日本音楽コンクール作曲部門(管弦楽の部)入選。日本交響楽振興財団作曲賞入選。三菱UFJ信託音楽賞奨励賞受賞。主要作品に、オペラ「不思議の国のアリス」、オーケストラのための「ルクス・エテルナ」、「オーケストラ作品集 呼吸する大地」(オクタヴィアレコード)、ピアノ・コンチェルト、吹奏楽曲「ゴシック」、「音楽物語〜蜘蛛の糸」、ピアノ・カルテット「もうひとつの世界」、ピアノのための「6つのフラグメント」、合唱組曲「方舟」、歌曲集「秋の瞳」ほか。声楽作品は特に人気が高く、オペラ・歌曲・合唱とも全国で演奏されている。出版は100冊を超え、CDも「室内楽作品集 もうひとつの世界」(レコード芸術 特撰盤/ライヴノーツ)他多数。

◎木下牧子公式サイト m-kinoshita.com *************************************************************************************************************

現在の日本において、木下牧子作品は、最もよく演奏される日本人作曲家の音楽作品といえると思います。筆者の音楽大学での指導現場においても学生さんからの演奏希望は多かったですし卒業後の演奏会でも再度、再再度と演奏されています。私自身、何度でも機会あるごとに演奏したくなります。

私は1997年に木下牧子さんが依頼して下さり、「木下牧子浪漫歌曲集」のCDを収録する素晴らしい機会を得ました。いつものように楽譜初見の時にはピアノ伴奏しながら歌っていきましたがピアノ部分を弾くのが簡単ではなく、結局、ピアノ伴奏だけを何度も練習して何とか弾けるようにしてから歌っていきました。木下牧子さんがピアニストでもあることを知って、「歌部分とピアノ部分が一体化した、歌の旋律になっている」と私なりに理解しました。木下牧子作品は、演奏する人のその時のそれぞれに沿って素敵に演奏されるように作られていると思っています。演奏者のニーズにいかようにも応えられる大きなスケールと包容力を持っていると思います。

作品に触れていると、オーケストラの響きに匹敵する繊細さがあると私は感じます。そして、歌とピアノがそれぞれに響きながらも一つになって表現される音楽芸術の至高の美、壮大な感覚に満たされます。演奏にあたっての練習は、歌手はピアノ部分を弾いて、最小限、和音の響きとして感覚的に掴めるまで、できる限り自分のものにし、ピアニストは歌の部分を歌って歌詞からも感じて自分のものにする作業が、歌手とピアニストそれぞれに、最初に必要と私は思っております。

今年CD録音させていただく木下牧子作品は、私が委嘱させていただきましたモノオペラ「暁の星」(夏目漱石 夢十夜 より)です。2018年のリサイタルで演奏発表させていただきました。その改訂版初演になります。3章から成り、演奏所要時間は25分ほどです。登場するミステリアスな女性の実像が浮かんでは消えていってしまうので、心もとなく思っていました。夏目漱石の他の著書を読んで、やっと自分なりにその女性の実像をつかむことができましたので、初演から4年以上を経て録音することにいたしました。現在、練習に努めております。

演奏者はそれぞれに感じ、それぞれに作品演奏に努めていると思います。私はというと、木下牧子作品を歌うと、普段は気づかないけれど、確かに自らの持っている繊細な部分が満たされるように感じます。

更に、木下牧子作品の演奏について述べていきたいと思います。

 

 

 

 

 

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